4-8 地域情報をさがす
国内外を問わず、特定の地域を研究対象にする際に確認しておきたいポイント、参考情報を紹介します。
①国内の地域情報
地域情報とはその土地を知る手がかりとなる資料やその土地で発行された資料のことですが、観光施設案内、歴史、航空写真、風景・記録写真、地図、法情報(条例・規則)、ビジネス情報(地域、業界)、人物などさまざまなものが考えられます。
国内では「平成の大合併」により、多くの市町村が合併し、行政、学校、人のつながりにさまざまな変化をもたらしました。しかし地名が変わっていたとしても、住民へのサービスは昔ながらの行政区を単位として行っていることもあります。特定地域へフィールドワークに赴くときは、その土地の市史(歴史)を事前に確認しましょう。
特定地域のことを調べるときは、公共図書館の利用がもっとも収穫があるでしょう。公共図書館では地域情報、郷土資料として、その地域に関する各種資料や情報、あるいはその地域で刊行した資料を収集しています。都道府県立図書館、政令指定都市立図書館だけでなく、市町村の図書館でもその地域の情報が得られます。また、Webサイトで地域情報の調べ方を案内している図書館も多いので、確認してみましょう。
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『角川日本地名大辞典』(角川書店)
各都道府県47巻と別巻日本地名資料集成・日本地名総覧 -
『日本歴史地名大系』(平凡社)
47都道府県と京都市の48巻と索引2巻 -
県史シリーズ(山川出版社)
各都道府県47冊と別巻県別史跡・文化財一覧 -
『1:25000地形図』(国土地理院 2009)
日本全国地図4,342枚 -
『地方史文献年鑑:郷土史研究雑誌目次総覧』 (年刊 岩田書院)
全国の地方史研究雑誌1,600誌以上の刊行、目次情報を収録 -
東京都立図書館
→https://www.library.metro.tokyo.lg.jp/
「江戸と東京」に関する資料を幅広く収集・保存しており、「TOKYOアーカイブ」「都市・東京の記憶」などのページで紹介している。
②海外の地域情報
現地情報の発信言語は、国・地域ごとに異なり、日本で得られる情報量に差が出ます。日本語で得られる情報は、日本と関わりの深い国、日本で関心が高い分野について、また英語で得られる情報は欧米と関わりの深い地域、国際的に関心を集める国・地域、トピックとなります。それ以外の言語では、国別・分野別の詳細な情報や、最新の現地情報・データが得られます。
- ■基本情報・政治・経済動向
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『世界年鑑』(共同通信社 年刊)
世界各国の現勢、主要データを収録する年鑑。国別に政治、外交、軍事、財政・経済、社会・文化の動向を簡潔に記載。 -
各国・地域情勢:外務省
→https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/
日本の外務省が提供する各国情報。国別に基礎データ、歴史、政治体制、外交、経済指標、対日関係を掲載。 -
『アジア動向年報』(アジア経済研究所 年刊)
全アジア諸国・地域の政治・経済・対外関係の動向を解説。 -
『ARCレポート』(ARC国別情勢研究会)
世界48カ国の国別調査・統計レポート。年間24カ国、2年で48カ国を発行します。 -
Europa regional surveys of the world(Routledge 年刊)
世界各国の現勢、主要データを収録する地域別の総合年鑑。国別に概況、統計、ダイレクトリー(機関名簿)を収録。 -
The Times comprehensive atlas of the world(14th ed. 2014)
世界地図帳
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『世界年鑑』(共同通信社 年刊)
- ■社会・歴史・文化
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「世界を知る事典」シリーズ(平凡社)
世界の各地域を総合的に理解するために編集された地域別の入門事典。1冊で幅広い分野を網羅。 -
Historical Dictionary シリーズ(Scarecrow Press)
国別、テーマ別の歴史事典。巻末の参考文献が充実しており、海外の最新文献も収録。 -
『アジア歴史事典』(平凡社 1984新装復刊)
アジア史の総合事典。人名、地名、史料名、出来事などを幅広く収録。 -
「エリア・スタディーズ」シリーズ(明石書店)
『中国のムスリムを知るための60章』など世界各国・地域の概要をわかりやす く解説した国別の入門書シリーズ。日本語資料が少ない国・地域の情報源。電子ブックでも利用できます。
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「世界を知る事典」シリーズ(平凡社)
- ■アジア情報の参考になるサイト
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AsiaLinks-アジア関係リンク集(国立国会図書館)
→https://rnavi.ndl.go.jp/asialinks/jp/index.html
アジア各国のWebサイトを国・地域別、機関別、テーマから探せるリンク集です。 -
アジア情報機関ダイレクトリー(国立国会図書館)
→https://rnavi.ndl.go.jp/asiadirectory/jp/index.html
日本国内のアジア関係資料、アジア言語資料を所蔵する151の機関について、利用条件、所蔵情報を紹介しています。
国内にある専門研究所、各国大使館、領事館や外国政府関連図書資料室でも各国情報を入手できます。
アメリカンセンターJapan
日仏会館図書室
京都大学アフリカ地域研究資料センター
ジェトロ・アジア経済研究所図書館
東洋文庫
韓国文化院図書映像資料室
東京ドイツ文化センター図書館
セルバンテス文化センターフェデリコ・ガルシア・ロルカ図書館
イタリア文化会館図書室
カナダ大使館E・H・ノーマン図書館 -
AsiaLinks-アジア関係リンク集(国立国会図書館)
column海外へ行く前の情報収集
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学生時代には旅行会社のパックツアーをはじめ、短期ホームステイや正規留学、ゼミの実習やインターンシップ、ワーキングホリデイなど、さまざまなかたちで短期長期を問わず海外を訪れる機会があるでしょう。
最近、インターネット上には個人の海外旅行記、体験記があふれています。そういったものも確かに参考にはなりますが、以下のようなポイントは情報として押さえておきたいですね。また、自分が入手した情報は直近のものであるかどうかも忘れずに確認しましょう!
- 外務省渡航関連情報
- 現地の医療施設
- 検索エンジンで「地域名」による検索で、その地区の情報
- 外国は地区によって治安の格差が大きいところもあります。国名、都市名検索だけでなく、地域名で調べましょう。
- 移動の手段、料金
- 鉄道は走っているのか、車のみが移動手段か。予定していたものに乗り遅れた場合、どのような代替手段があるか。
ポイントは「い・食・住」です。この場合の「い」は移動の「移」と医療の「医」。観光客向けサービスが十分ではない国に行くときは特に、事前の情報収集をしっかりしておきましょう!