大学図書館の貴重資料コレクション紹介
図書館の資料を、共通の主題や形態などによりまとめたものをコレクションとよびます。幕末の横浜のヘボン塾を淵源とする明治学院は、150年を超える歴史の中で、当時の洋学図書や大学の学術研究で集めた貴重な図書を数多く所蔵します。これらの資料を研究分野に沿って体系的に整理し、コレクションとして構築しています。その一部を紹介します。
幕末・明治英学辞書 コレクション
幕末から明治は英学の時代であり、日本人がもっとも英語を学んだときでもあり、西欧世界が日本語を学んだ時期です。創設者ヘボンも日本語を研究・収集し、『和英語林集成』を作りあげました。その『和英語林集成』を中心に、幕末期から始まる英学辞書を集めた日本有数のコレクションです。創設から150年の間に築き上げた所蔵と、卒業生で辞書史研究家である故岩堀行宏氏の寄贈本により構成されており、全容は『和英語林集成』デジタルアーカイブスの辞書年表でも確認できます。
卒業生コレクション(戦前編)
第1回卒業生の島崎藤村は自伝的小説『櫻の實の熟する時』において、卒業式の様子を記しています。その島崎藤村著作の初版本や直筆原稿などを収集しているほか、林董、馬場孤蝶、戸川秋骨、沖野岩三郎、賀川豊彦、佐々木邦らの資料を収集しています。
絵本とメルヘン・ コレクション
文学部の研究分野から生成されたコレクションで、ヨーロッパを中心とするメルヘン(口承の昔話、御伽噺)や創作物語の美しい挿絵入り本、絵本史上の著名な画家や作家の作品、また、日本の昔話を英訳した明治期のちりめん本などを中心に構成しています。2018年にはコレクション目録『絵本とメルヘン:明治学院大学図書館貴重書コレクション』を刊行しました。
これらの貴重資料は外部機関から展覧会等への出品要請も多く、たくさんの方にご覧いただくことで文化の向上と研究の発展に貢献しています。
- 《過去のおもな出品展覧会》
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2008年 神奈川近代文学館
「堀田義衞展 スタジオジブリが描く乱世。」
2011年 東京都庭園美術館ほか
「森と芸術展」
2012年 神奈川近代文学館
「島崎藤村展」
2013年 横浜開港資料館
「宣教医ヘボン」
2015年 埼玉県立近代美術館
「旅と芸術展」
2016年 国立新美術館
「ダリ展」
2019年 ポーラ美術館
「シュルレアリスムと絵画」
2020年 北海道立近代美術館「デビュー50周年記念 諸星大二郎展 異界への扉」
2021年 三鷹市美術ギャラリー「デビュー50周年記念 諸星大二郎展 異界への扉」
2022年 町田市立国際版画美術館「自然という書物展」
2023年 長崎県美術館 国立西洋美術館「スペインのイメージ展」
2024年 諸橋近代美術館「生誕120周年 サルバドール・ダリ-天才の秘密-」