3-9 レファレンスサービス
カウンターにいるスタッフは、みなさんが大学で学習していくうえでわからないことがあったり困ったときに支援する「アドバイザー」です。みなさんからの質問にお答えすることは「レファレンスサービス」といって、図書館の大切な仕事です。
白金5F レファレンスカウンター
横浜1F レファレンスカウンター
※レファレンスサービス以外にも図書館では学習支援をしています。
7章-4を参照してください。
レファレンス実践!~その1 みんなこんなことをきいています~
授業で、「障害のある当事者が書いた本を読むように」と言われたのですが、うまく見つけられません。どうやって探せますか。
思いついた言葉、たとえば「障害 手記」でOPAC検索をしても6件しかヒットしませんね。障害のある人の書いた本が、どのような言葉で統制されているかを考えてみましょう。「闘病記」という言葉で統制されているようですね。OPACの詳細検索画面で検索キーワードを「闘病記」とし件名検索をしてみると、104件ヒットしました。この中からご自身の興味のある本を選んでみてもよいですし、その本の近くをブラウジングしてみてもよいでしょう。
「健康づくり」の本ってどのあたりにありますか。
健康づくりの本をお探しなんですね。ためしにOPACで「健康づくり」と入力して検索してみると、133件ヒットしますね。本のタイトルを見てみると、「スポーツ」「予防医学」「体の健康」「政策」「栄養」など、いろいろありそうですが、どのあたりの本がよさそうですか?
いろいろ見てみたいなら、実際に書架を眺めながら探してみるのもよいですよ。スポーツなら「分類番号780=スポーツ」、医学関係なら「分類 番号490=医学、薬学」、栄養なら「分類番号498.55=栄養学、栄養化学」、白金図書館3階の書架にありますよ。
グルック作曲のオペラ「オルフェとエウリディーチェ」の楽譜を探しているんですが、OPACでヒットしないんですけど…
作曲家や作品名の原綴りを調べてみましょうか。「新グローヴオペラ事典」は作品名から調べられますね。
『新グローヴオペラ事典』白水社、2011、P182-189
《オルフェーオとエウリディーチェ》(《オルフェとウリディスク》)
Orfeo ed Euridice (Orphée et Eurydice)
イタリア語稿
[初演]1762年10月5日、ヴィーン、ブルク劇場
[作曲]クリストフ・ヴィリバルト・グルック
フランス語稿
[初演]1774年8月2日、パリ、王立音楽アカデミー(オペラ座)
[作曲]クリストフ・ヴィリバルト・グルック
作曲家の原綴りは「Christoph Willibald Gluck」、作品名の原綴りは「Orfeo ed Euridice」とわかりましたね。これ以外にも「Orfeo ed Euridice」はイタリア語稿でウィーン初演、フランス語稿の「Orphée et Eurydice」はパリ初演であること、オペラの内容についても詳しく載ってますね。事典は、歴史的経過や学説など網羅的に知りたいときに便利ですよ。
それでは、もう一度この作品名「Orfeo ed Euridice」でOPAC検索をしてみましょう。検索をするときには、OPACの「詳細検索」画面より「資料区分」の「楽譜」にチェックを入れてください。白金図書館で7件ヒットしましたが、フルスコアは2件ですね。こちらで大丈夫そうですか。
■参考になるWebサイト
・レファレンス協同データベース
→http://crd.ndl.go.jp/reference/
国立国会図書館が大学図書館や公共図書館等と協同で構築する調べ物のための検索サービスです。「自分の知りたい」と思っていることは、全国の誰かが過去に気になっていたことかもしれません。質問・回答とその回答への辿り着き方の事例が見られますので、いろいろ検索してみてください。
レファレンス実践!~その2 レポートで困ってるんですが・・・~
課題でレポートを書くために、来週までにテーマを決めないといけないんです。障害のある人がいきいきと働いていて、そういうとき企業側に求められていることをスワンを例にして書いてみたいんですが…パレットゾーンにたまに来てるから、スワンのパン屋さんが。OPACで「スワンベーカリー」で検索したら、この1冊しかヒットしなかったのですが、図書館にあるのはこれだけでしょうか?
・牧野節子(2003) 『はばたけスワンベーカリー』汐文社
検索する前に、まずはスワンベーカリーって、どんなパン屋さんなのか、下調べをすることも大事ですよ。スワンベーカリーのホームページは見てみたかな?
テーマの下調べ
見ました。“スワンとは「障害のある人もない人も、共に働き、共に生きていく社会の実現」このノーマライゼーションの理念を実現させるために故・小倉昌男理事長がヤマト福祉財団、ヤマトホールディングス(株)と共に平成10年に設立した株式会社”みたいです。
キーワード集め
そうですね、ほかにも、売れる製品創り、低賃金から脱却、障害のある方の雇用、障害者の自立と社会参加など、いろいろ検索のキーワードがありそうですね。
はい、「株式会社スワン」「小倉昌男」「ノーマライゼーション」「障害」 「障害者」「共同作業」「授産施設」「雇用」「自立」「社会参加」…とか?
本を探す
キーワード探しや関連情報の入手には「JapanKnowedge Lib」というデータベースもおすすめですよ。「障害者 雇用」で全文検索してみましょうか。これで出てきた「障害者雇用促進法」「障害者雇用率制度」などの言葉は企業側の取り組みに関係ありそうですね。こうやって、最初に思いついたスワンベーカリーから、キーワードを広げたり、深めていくと、社会的背景や法的問題、これまでの流れなどもわかってきますよね。
さて、いろいろ調べたところで、もう一度OPACで探してみましょうか。「小倉昌男」で検索すると13件ヒットしますね。この本はどうかな?
・小倉昌男(2003)「福祉を変える経営:障害者の月給一万円からの脱出』(日経BP社)
あ、読んでみたいです! 白4F、請求記号は…369.27:035?
そうそう、この本の配架場所と請求記号をメモしてね。この本は分類番号が369.27で身体障害者福祉に分類されているから、周りにある同じ分類の本も手に取ってみるといいですよ。ほかに「366.28=身障者・中高年雇用問題」「369.28=精神障害者福祉」の分類の本も参考になりそうですね。まずは読みやすい本を何冊か読んでみるといいですよ。レポートを書くんだったら、雑誌論文も調べたほうがいいですね。
雑誌論文を読む
えっ、雑誌論文って読んだことないです。
雑誌論文はタイムリーな話題や最新の知見が掲載されているし、読む分量としてもまとまっていていいですよ。福祉関係の雑誌で「ソーシャルワーク研究」「職業リハビリテーション」といった雑誌を見てみてはどうでしょうか。
それから、雑誌論文を探すためのデータベースでCiNiiというのがあります。さっき集めたキーワードを使って「障害者 就労 支援」や「障害者雇用促進法」で検索してみるといいかもしれないですね。
そうなんだー。CiNiiの検索を自分でやってみます!
それからもうひとつ、社会問題だったら新聞記事も調べてほしいですね。新聞のデータベースがあるのは、知ってるかな?ためしに朝日新聞の「朝日新聞クロスサーチ」を調べてみましょうか。キーワードは「障害者 就労支援」にしましょう。たくさんヒットしましたね。
『朝日新聞』2019/12/17・朝刊「企業の助成金拡充へ 重度障害者の就労支援厚労省方針」p.3
こんなにたくさん情報源があるなんて知らなかった!レポートのテーマ決め、来週までになんとかできそうです。
まずは、目的の本を探すために、いろんなキーワードで検索してみようと思います。本だけでなく雑誌論文や新聞も、レポートにはとても役に立ちそうですね!
また、わからないことがあればいつでも相談してね。
がんばって、いいレポートにしようね!
※「レファレンス実践!」は白金図書館で受けた質問をアレンジして作成しました。