2-5 キーワードの洗い出し
資料を探すときにはキーワードの選択が重要です。思いついた語でやみくもに検索するのではなく、検索語の概念を理解して使うことで効果的な検索を行えます。
①上位語・下位語 (広義語・狭義語)
用語には概念の広いものと狭いものがあります。より概念の広いものを上位語(広義語)、より概念の狭いものを下位語(狭義語)といいます。これらを使うことにより、検索の範囲を広げたり、狭めたりすることができます。
上位語(広義語) | 下位語(狭義語) | |
---|---|---|
社会保障 | 社会福祉 | 児童福祉 地域福祉など |
crime | child abuse | battered child syndromeなど |
②同義語・関連語
より網羅的に検索をするときには、同義語・関連語にも注意を払う必要があります。
③複合語
「首都機能移転」「限界集落」「障害者福祉」といった言葉は、いくつかの語がまとまった複合語です。ひとかたまりの語として検索したほうがよい場合もあれば、語を切り分けて検索したほうがよいものもあります。検索結果が思うように出てこないときは、語を分けて検索し直してみましょう。
④略語と正式名称
メディアによって使われる語には特徴があります。例えば新聞記事には、誰にでもわかるような平易な言葉で、かつ、紙面の制約があるので簡潔な言葉、略語を多用するという特徴があります。
- オリンピック
- 五輪
- アメリカ合衆国
- 米、米国
- 経済産業省
- 経産省
- ワーキンググループ
- WG
⑤統制語とシソーラス(Thesaurus)
検索の際に思いついた言葉をそのまま使うと、語形や表記の変化、同義語や同形異義語の存在などで検索漏れが生じ、なかなか思うような検索結果が得られないときがあります。そのようなときは意味範囲や使用方法を規定された「統制語」を使うとよいでしょう。図書館の資料探しに役立つ統制語は『BSH:基本件名標目表』と『NDLSH:国立国会図書館件名標目表』が代表的です。国内の多くの図書館で使われています。
シソーラスというのは専門分野ごとに上位語・下位語・関連語などを分類整理したものです。語の意味を統制し、語と語の同義語関係、階層関係を表しています。
シソーラスの代表的なもの
- JST科学技術用語シソーラス
- 国内の代表的なシソーラスで科学技術全分野の用語を網羅
- 医学用語シソーラス
- 医学中央雑誌刊行会提供。医学・歯学・薬学・看護学・獣医学・
公衆衛生学等の分野の用語が体系的に関連付けられている
- 日経シソーラス
- 日本経済新聞作成の新聞記事検索のための用語集
- 女性情報シソーラス
- 国立女性教育会館提供。
女性学、家族、ジェンダーの領域の用語集
- MeSH(Medical Subject Headings)
- 米国国立医学図書館が定める生命科学用語集
⑥言葉の変遷
言葉には時代変遷の中で呼称が変わっているもの、何かの事象により呼称が変わったもの、はじめて使われてから定着する間に呼称が変わってきたものなどがあります。研究対象としている時代に使われていた言葉を確認しましょう。
- 精神分裂病2002年、学会がドイツ語の訳語変更
- 統合失調症
- 厚生省 労働省2001年の省庁再編により誕生
- 厚生労働省
- フェースブック当初、新聞などではこの表記でした
- フェイスブック